幼なじみの不器用な愛し方
記憶を引っ掻いた香りの名称を言い当てることくらい、造作もない。


「花火大会の時……屋台で買い物した時だっけな。高校生にしてはいい香水つけてんだなーと思ったんだよ。もっとメジャーなブランドは持ってるやつも多いだろうけど、ガラルはあんまり同世代では見かけねーから。

だから、移ってた匂いに気付いてすぐに思い浮かんだよ」

「……え……?」

「──美月の靴箱に脅迫めいた紙を入れてたのはお前だな?」


有斗の声は少しの温情すらも残しておらず、冷徹そのものだった。

想像以上の冷たさに、思わず背筋が凍る思いになる。


「み……美月ちゃんの靴箱に……って、なんのこと……?」

「しらばっくれようとしても無駄だぞ。こっちには証拠だってあるんだ。見るか?」


証拠。それは、有斗が設置したカメラが今月に入ってから捉えた映像だった。

──正確には、はっきりとした証拠は映っていなかった。
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