幼なじみの不器用な愛し方
「ずっと目障りだったんだよね」


と、低い声が風に乗って届いた。

普段のふわふわとした話し声からは想像もつかない声に、一瞬耳を疑った。


「幼なじみだからってあの女、入学してからずっと有斗くんにべったりで。わたしは1回も同じクラスにもなれなかったのに」


低い声で紡がれる呪詛に、背筋が凍る。


「有斗くんはみんなのものじゃん。独り占めなんて許されるわけないじゃん。だから教えてあげようと思ったの。有斗くんもあの女も、近すぎてそのことに気付いていないから」

「……お前、言ってることおかしいぞ。自分が俺に近付くのはいいのかよ」

「いいかはわからないけど、権利はあると思ったよ。だって、デビュー当時から欠かさずに有斗くんの活動をチェックしてきたんだもん。ただキャーキャー騒いでるやつらよりは近くにいてもいいと思わない?」


怖い。明確な恐怖が全身を駆け巡る。

わたしの中のメグちゃんの姿が、ガラガラと崩れ去っていく。

あれもこれも、全部嘘だったんだ。心の中では、こんなことを思ってたんだ。

小さくないショックを受けることを見越して、わたしを同席させることを渋ったんだと今更気付いた。
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