幼なじみの不器用な愛し方
2人の間に長い沈黙が落ちた。

それから、扉が開閉する音がする。

わたしと菊池が顔を見合わせたのと同時に、


「終わったぞ」


飄々とした様子で、有斗がペントハウスの陰を覗き込んできた。

どうやら、さっきのはメグちゃんが屋上を後にした音だったらしい。


「なんつー顔してんだよ、2人とも」

「いや……なんか、どっと疲れた。思ってた以上に容赦なかったし」

「聞いてただろ? あいつに手加減してたらこっちが保たねーよ」


有斗と菊池の会話をどこか遠くに聞く。

ぼうっとしているわたしの顔を、有斗が覗き込んでくる。


「大丈夫か?」

「え? ……あ、うん、平気。

有斗こそ、あんなふうに言って大丈夫だったの? もし本当にSNSに書かれたら……」


若い有斗を応援する人の中には、がっかりして離れていく人も少なくないだろう。

そんなファン層を切り離せるほど、有斗の立場はまだ盤石ではないはずだ。


「釘は刺したし、心配しなくていいって。まぁ、事務所には怒られるかもしんねーけど、何とかなる」

「でも……」

「何が起こったって美月のせいじゃないから気にすんな。菊池も、ほんとにありがとな」
< 248 / 266 >

この作品をシェア

pagetop