【書籍&コミカライズ作品】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~【第三部完結】
「陛下、ドルレアン国に行く事はむしろ楽しみなくらいなのですが、1つ心配な事がございまして……」
「ふむ、遠慮なく言うがいい」
「はい、私の妹であるソフィアの事です」
「フェルナンドが養子として引き取った娘の事だな。その子が何か?」
「彼女はまだ5歳で、夜は毎日私と一緒に眠っているので邸に一人で置いていく事が難しいと思っております。彼女も一緒に連れて行く事は可能でしょうか?」
真剣に陛下と王妃殿下に頼む私の姿に、ヴィルが私の背中に手を置いて心配しているのが伝わってくる。
「オリビア、公爵邸の時に言ってくれれば父上に頼んでおいたのに」
「ごめんなさい、その時はまだ深く考えていなくて。ソフィアと一緒に寝る時にふと思ったの、邸に置いて行くのは出来ないかもしれないって」
「まぁ連れて行くのは構わないのではないか?」
陛下は特に問題なさそうに王妃殿下の方に語りかけると、王妃殿下は少し考えている様子を見せ、緊張した面持ちでこちらを見据えてきた。
「あそこの国での子供の立ち位置は非常に低い。王族と一緒に行くので心配はいらぬとは思うが、連れ歩く時はくれぐれも気を付けるがいい」
「は、はい!」
「ヴィルヘルムも……私が言う事ではないかもしれぬが、国王であるそなたの伯父夫婦はあまり良い人間とは言えない。気を付けるのだ」
王妃殿下の言い方はぶっきらぼうだけど、なんとなく同じ母親だった人間としては心配しているのが伝わってくるわね。
「……はい、母上。感謝いたします」
ヴィルの声は王妃殿下から一呼吸遅れて聞こえてくる。
でもその表情はあえて見ない事にした。
2人の関係には長い時間が必要なのだろうし、一朝一夕でどうにかなる問題でもない。
こういった事を積み重ねていくしかないのかもしれないと思いながら、その後4人で少し他愛のない話をして、その日は王宮を後にしたのだった。