【書籍&コミカライズ作品】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~【第三部完結】
「それにしても暖かいわね。ハミルトン王国は今は秋だから寒くなってきていたのに真夏のように暖かいわ」
「きっとビシエラ山のおかげよね。物凄くエネルギーを感じるから」
マリアがそう言った瞬間、また地面に小さめの振動が起きた。
ソフィアは私の手をギュッと握り締めたので、私も彼女の手を握り返す。
「オリビア……!」
一瞬ヴィルの声が聞こえた気がして振り向くと、イザベルがスッと私の肩を支えてくれたのだった。
「ありがとう、イザベル」
「いえ、私の役目ですから」
私を安心させるように、ほんの少し口角を上げて笑ってくれる。
その後ろで、ヴィルがしょんぼりしていた事に私はまったく気付いていなかった。
ふとレジェク殿下の方を見ると、ビシエラ山の方を向きながら手を組んで、祈りのポーズをしている……周りの民も皆祈っているわ。
それほど信仰が深い国なのね。
私が関心していると、祈りを終えたレジェク殿下がマリアの方へと歩み寄っていく。
「あなたがビシエラ山からエネルギーを感じると言った途端、火の神の鼓動を感じるとは……やはりあなたは聖女なのですね」
「え…………なんで知ってるの?」
レジェク殿下がうっとりとしながらマリアにそう言うけれど、言わない方がいいと言われていたマリアが驚いて聞き返す。
どうして知っているのかしら。