【書籍&コミカライズ作品】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~【第三部完結】
「僕が言っちゃったんですよ~~温泉の時に。もう知ってるものだとばかり思っていたので……すみません」
「あんたね……ま、仕方ないか。私の魅力は隠しきれないしね」
「………………」
マリアの言葉にラスが笑顔で固まっているわ……王族にも臆さないラスをフリーズさせるなんてマリア、恐るべしね。
得意げになったマリアは、さらにラスに絡んでいく。
「あんたも、何か困った事があったら私の聖力で助けてあげなくもないわよ」
「…………大きなお世話です」
「何よ、赤くなっちゃって~~」
何、この2人……姉弟みたいじゃない。
なんだかんだマリアの言葉に嬉しそうに見えるラスの姿に、年相応の面が垣間見られてホッコリしたのだった。
でもラスにマリアが聖女って教えたかしら……少し思い返してみたけれど心当たりはない。暑くて頭も回らなくなってきたので、ひとまずどこかで休もうと皆に声をかけてみる。
「ねえ、暑くて喉が渇いたから、どこかで休まない?ソフィアも休ませたいし」
皆で王都を散策していたけれど、そろそろソフィアに水分補給が必要かもと思った私は、皆にカフェに入ろうと提案する。
「そうですね。それでしたら少し歩いたところにお店がありますので、もう少し歩けますか?」
「ええ、それは大丈夫よ」
レジェク殿下がこちらを気遣うように優しい言葉をかけてくれるので、建国祭の時はとても意地悪なイメージだったのに好感度が上がってくる。
そしてソフィアを休ませたいという私の言葉に、ゼフがソフィアを抱き上げてくれたのだった。