【書籍&コミカライズ作品】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~【第三部完結】


 「ありがとう」


 ソフィアの言葉にゼフは無言で頷いた。


 言葉は少ないけれど2人の間にはしっかりと信頼関係があるように見えて、ついお母さん目線でホッコリしてしまうわね。

 さり気なくヴィルが私の手を引いてくれながら、皆でカフェに入っていったのだった。


 ~・~・~・~・~


 外観はこじんまりとして見えたのに、中に入ってみると以外にも広く、9人で押しかけたにも関わらず席を確保してもらえたという。

 女性陣と男性陣で二つの席に分かれて座り、メニュー表を見ながら各々注文を決めていく。


 「何にしようかしら……これって冷たいクリーム?」

 「そうじゃない?年中暑い国みたいだから冷たいメニューが多いんじゃないかな」


 私がマリアとあれこれ話していると、年配の女性店員が注文を取りにきてくれて、レジェク殿下の顔を見て驚きの声をあげた。


 「で、殿下?!ようこそいらっしゃいました……!」
 
 「やあ、城の料理人だった君が開いた店を見たくて来てみましたよ。良い店じゃないですか」

 「勿体ないお言葉です!本日はこれから行われる腕相撲大会に出られるのですか?」


 どうやら知り合いのお店だったらしくて、店員の女性は随分恐縮している様子だった。

 ん?腕相撲大会?


 「そんな大会があるの?」

 「ええ、建国祭までは色々な催しがあるのですが、その一つです」
 

 レジェク殿下の言葉にイザベルが「それは、腕がなりますね」と腕を回し始める。
 

 「もの凄くやる気だわ……」
< 591 / 690 >

この作品をシェア

pagetop