【書籍&コミカライズ作品】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~【第三部完結】
日本のようにエアコンがあるわけではないし、もちろん涼しくなる魔法とかもないから……夜風が肌を掠めていくのがとても心地良くて、髪の隙間を通り過ぎる風を感じながら、夜の王城からの景色を堪能する。
「ここからもドルレアン国の景色がよく見えるわね」
「そうだな……」
こうやって夜景を見ていると、普通の国にしか見えないし、ただ旅行に来たという気分に浸る事が出来る。
でもこの闇に隠れてしまっている事があるのも、ハミルトン王国の聖ジェノヴァ教会との事で嫌と言うほど分かっているから、綺麗なだけではないのよね。
「明日は炭鉱に行くが、ソフィアは置いていくだろう?」
ヴィルからの言葉に一瞬返答を忘れ、目を瞬かせる。
そういえばそうよね、炭鉱は安全な場所とは言い難いし、ソフィアは連れて行けないわ。
「もちろん置いていく事になるわ。それに今日観光をしていて何となく感じたのだけど」
「子連れが少ないという事?」
やっぱり気付いていたのね。
そうなのよね、沢山のお祭りが催されているにも関わらず、子供たちが走り回ったり家族連れで賑わっている姿があまり見られなかった。
大人の屈強な人々は沢山いたし、労働者は沢山いたものの、子供はこんなに少ないもの?
私の気のせいかとも思ったけれど、ヴィルも感じていたからちょっと安心する。
「ええ、お祭りって大人のためのものなのかと思ってしまうくらい、少なかったわよね。何となくソフィアに対する視線も気になったし」
「歩いている子供も金持ち風の子供しかいなかったな。あまりソフィアを連れて王都には行かない方がいいかもしれない。王都の外なら大丈夫かと思うが」