【書籍&コミカライズ作品】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~【第三部完結】

 「オリビア、君を中へ行かせる事は出来ない」

 「オリビア様、私が行きますのでここで待機していてください」

 「え、でも……」

 「「ダメです」」
 
 
 2人がもの凄い真剣な表情で止めてきたので、さすがに行くとは言えなくなってしまう。

 でも確かに私が行っても足手まといかもしれない……かえって迷惑をかけてしまうかもと思った私は大人しく待機する事にしたのだった。

 結局ヴィルも王族という事で行くのは止められてしまい、イザベルがマスクをしっかり装着し、先頭に立って炭鉱夫の方々と一緒に入っていった。

 その背中を見守りながら、ここに来てからずっと大人しかったラスが口を開く。


 「他国の民の為に王族、貴族がここまで動くなんて信じられませんね」


 いつもの軽口のように聞こえるけれど、少し表情は曇って見える。

 どうしたのかしら……私はひとまず自分が思っている事を口にする。


 「他国とかそんな事は関係ないの。目の前で困ってる人がいたら助けるのは当たり前のことよ」
 
 「それが信じられないんです。僕の国では……いえ、何でもありません。勉強になりました」

 「? じゃあラスも手当を手伝って!中に入らなくても出来る事は沢山あるわ!」

 「え?いや、僕は……」


 まだ戸惑っている様子のラスの腕を引っ張り、有無を言わさずに怪我人のところへ連れて行く事にした。

 この子にも色々と思うところがあるのでしょうけど、とにかく人手が必要だし、迷ってるくらいなら動いた方がいいもの。

 私に導かれるまま連れて行かれたラスは、イザベルが坑道から戻ってくるまでずっと怪我人に寄り添い、最初こそ顔が引きつってはいたものの、最後の方は真剣に取り組んでいた。

 それに様子を見ている限り、手慣れている感じがする……僕の国ではって言っていたし、この国の者ではない事だけは確かよね。

 今は詳しく聞く事は出来ないけれど、自分から話してくれる機会が訪れるといいな。
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