【書籍&コミカライズ作品】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~【第三部完結】
私たちが炭鉱に行った日の話だわ。
マリアは皆と別行動でビシエラ山について調べてくれていたと話していたけれど、まさかムンターニャ宰相に見られていたとは。
「体の光りがどんどん増していき、それと共にビシエラ山からの神の鼓動もおさまっていきました。この方はビシエラ山に宿る神と交流出来るお方……それは古の聖女様以外おられません!!」
一人で盛り上がるムンターニャ宰相に、当の本人であるマリアが待ったをかける。
「ちょっと待って。勝手に話を進めないでくれない?!」
「は…………ぃ……」
ムンターニャ宰相は、マリアの剣幕に驚き戸惑ったような返事をしたのだった。
マリアの言葉がとても普通の女子高生のような感じね……笑ってはいけないと思いつつ、堪えるのが大変。
納得出来ない彼女は、ムンターニャ宰相に質問を続ける。
「確かに私は聖女って言われているけど、ビシエラ山に宿る神と交流したわけではないし、そもそも古の伝承って何?」
「それは……ここでお伝え出来る事ではありませんので、別室で……ヒヒッ」
宰相はマリアに内々にお話ししたかったようだけど、レジェク殿下はムンターニャ宰相を無視し、マリアにその話をし始めた。
「北の国に伝わる古い言い伝えです」
「殿下!!」
「特に伝えられない内容ではないと思いますが?マリアには知る権利がありますし、ハミルトン王国に身を置いているのですから、この場で話すのは問題ありません」
「…………ッぐ……!」
この宰相、別室で話すって……マリアに何かしようと企んでいたのではと思ってしまう。
彼女が聖女である事実はもはや隠しきれないけれど、こういう良からぬ事を考える輩が湧いてくるのね……。
それにしてもレジェク殿下が……頼もしい……!
それに対して宰相と王妃殿下がまくし立て、レジェク殿下に迫ったのだった。
「殿下……!あなたのなさっている行動は国益に反するものですぞ!我が国の事を考えるなら、勝手な行動は慎むべきです!」
「レジェク、そなたはどちらの味方なのだ?!」