【書籍&コミカライズ作品】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~【第三部完結】
「ラス、一緒にカードゲームしよう?」
「はい。仰せのままに」
僕がそう言うと花がほころぶような笑みを見せてくれる。
オリビア・クラレンスが彼女を救い出した事だけは感謝しなくちゃね。
僕が間に合わなかったばかりにあんな孤児生活をさせてしまうなんて、悔やんでも悔やみきれない。
でも貴族も同じくらい碌なもんじゃないし、彼らがいかに無能で残酷で、怠惰な大人であるかを見てやろうと思っていた。
そうすればいくらでもソフィアを連れて行く理由が出来る。
そう思っていたのに。
子供の未来を第一に考えているし、自国の奴隷の為に命を懸けるし、体を張って人命救助とかしていて、王族、貴族なのに本当に変な人達。
僕の誤算は彼らの人となりを見誤った事だろうか…………もし自分がそういう人達のもとで今も仕える事が出来ていたら、もっと違う人生だったのかもと思った時もあるけれど、くだらない妄想だ。
自分の仕事は今の主から与えられた任務を果たす事。
夜になり、ソフィアが眠る客室へと忍び込む――――
ぐっすり眠る彼女の頬を撫でると、彼女が生まれたばかりの時を思い出す。
僕のお姫様……君を連れて行かなくては。
ソフィアを抱き上げると、隣で眠るオリビア・クラレンスがピクリと動いた。
ここで叫ばれたら面倒な事になると思った僕は、彼女の首筋に剣を突き立てたのだった。
ほどなくしてオリビア嬢が目を覚まし、僕の姿を見て目を見開き、驚きと恐怖を瞳に浮かび上がらせてこちらを凝視する。
「…………ラス……」
「動かないでくださいね。血が吹き出ちゃいますから」
恐怖で言葉が出ないだろうと思った。
これでソフィアは連れて行ける、そう思ったのに。
自分が殺されるかもしれない状況にも関わらず、オリビア・クラレンスは決して引き下がらない。