【書籍&コミカライズ作品】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~【第三部完結】
だんだんと周りが見えるようになったので、恐る恐る国王夫妻の方へ視線を移す。
そこには落石に囲まれて白目をむいている2人が倒れていたのだった。
良かった、直撃はしていないようね……でも、あの落石で、どうして?
まるで2人を避けながら囲うかのように落石しているわ。
全てが落ち着いた時、再度マリアの声が響き渡る。
『神は人の道に反する所業をした国王をお赦しにならない。この国は変わる必要があるでしょう……さもなくばまた、このような怒りを受けること、この国の民は胸に留めておきなさい!!』
マリアが国王夫妻を指さしながら、ここにいる者達にそう告げた。
彼女の体はまだ光り輝き、まるで神のお告げようだ。
「「お、おぉ……聖女マリア様!!」」
――――オオオォォォォォォォォォッ!!!――――
神殿内にいる人々からマリアへ、大きな歓声が起きたのだった。
……どういう事?
ここにいる人々はすっかり神の怒りが国王夫妻に降り注いだと信じ切っているけれど、どう見ても全てマリアが仕組んだ事にしか見えない。
周りをよく見渡すと、落石はイザベルとニコライ様、レジェク殿下を避けるように落ちてきていて、彼女がコントロールしていた事が窺えた。
彼らだけじゃない、ほとんどの岩石や倒れた柱、崩れた装飾たちも全て、ここにいる人々を避けていたのだった。
「やられたな……大した聖女だ」
「ヴィル。やっぱりそういう事、よね?」
「ああ」
私たちが呆れていたところに、舌をペロッと出しながらマリアがやってきた。
「ごめんね~~びっくりさせちゃって!」
「いや、本当に……何が起こったの?」
「実は…………」
マリアは周りの人に聞こえないように、こっそりと耳打ちしながら教えてくれた。
以前にビシエラ山を調べに行った時、あまりにも溜まっているエネルギーが大きいという話は聞いていた。
そして噴火口付近のエネルギーはマリアの力で拡散させる事が出来たけれど、地中の溜まりに溜まったエネルギーはマリアの力で無くすことは無理だと悟った時、良い事を思いついたらしい。
そのエネルギーを自分がコントロール出来ればいいのではないか、と。
そうすれば噴火も抑えられるし、一石二鳥だと考えたらしい。
「あの時に仕込んでいたんだ~~いつ噴火するか分からないなんて怖いし!」
「そうは言っても実際にそれを出来るとは限らないでしょう?!」
「すっごい頑張ったんだよ~~こんな大きな山を自分の力で包み込むのに何時間もかかっちゃって」