【書籍&コミカライズ作品】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~【第三部完結】
ヴィルの意地悪な言葉もニコライ様ならあっさりかわしそう……だと思ったのに、少し顔色が悪くなった気がする。
「なんだ、心当たりがあるのか?」
「そ、そんな事は……」
なんだろう、二人の間に何が……イザベルが逃げてしまうような何かがあったという事?
気になる!
野次馬根性的な気持ちが湧きあがっているところに、今度は物が倒れる音がしてくる。
――――ガタガタッ!バタンッ!!――――
「何の音?!」
辺りを見回すと、行きと同じようにマリーが荷物の上で倒れている姿が目に入ってくる。
「マリー!!」
皆が駆け寄ろうとしたところに、ガイアス卿が船長室からスッと現れた。
そして行きと同じようにマリーを軽々と抱き上げ、こちらに歩いてくる。
また船酔いで倒れてしまったのね……そう簡単に慣れるものでもないし、もっと気かけてあげていれば良かった。
「マリー!大丈夫?!」
「恐らく船酔いでしょうから下で休ませます」
青い顔をしているマリーに代わって、私の言葉に答えてくれたガイアス卿……マリーの為に……優しいわね。
「ありがとう、ガイアス卿」
お礼を伝えた時、マリーの瞼がゆっくりと開いたのだった。
「すみません、お嬢様…………あれほど言われましたのに」
「いいのよ、マリー。気にする事ないわ。ゆっくり休んで」
「やはり船は、慣れる事はありません、ね…………」
そこまで話して気持ち悪いのか、また目を閉じてしまう。
大丈夫かしら……心配する私達の前で、あまり笑わないガイアス卿が柔らかい笑みを浮かべながら「慣れてもらわなくては困る」とマリーに言い出した。
マリーは何とか重たい瞼を開け、ガイアス卿に聞き返す。