目と目を合わせてからはじめましょう
 慌てて飛び起きて、ベッドの上にの雨宮に目を向けた。

 「こんな遠くまで来てくれたのか? ありがとうな」

 いつもと変わらない声に、涙が溢れてくる。

 「わあああん。心配したんだから〜」

 ベッドの上で寝ている雨宮に近づいた。

「ごめんな。少しは寝れたか?」

 チロっと目を細めて私を見た。

 「ちょっと、ウトウトしただけよ」


 そして、向かいを見ると、やはり岸川がいた。多分だが、彼女は寝なかったのだろう。

 「岸川もすまなかったな」

 「いいのよ。当たり前の事をしているだけ。それより、痛みはどう?」

 岸川は、取り乱すこともなく、きちんと雨宮を労る声もかけられる。すぐに、感情を剥き出しにした私とは大違いだ。


 主治医が来て、念の為に検査をして異常がなければ、明日退院になるとのことだった。

 雨宮が、看護師に連れられて検査に向かう。

 「岸川、迷惑かてすまない。ゆっくり休んでくれ」

 「ええ。でも、さっき無事に任務の終了の連絡入ったから大丈夫よ」

 「そうか。良かった」

 雨宮は、芯から安心した様子でほっと息をついた。

 「咲夜も、少し休むんだぞ」

 「うん。ありがとう」


 雨宮が病室を出ると、岸川と二人きりになる。

 「少し、お話しいいかしら?」

 岸川が、私を見る。決して好意的な視線ではない。

 「ええ」
 
 断る理由もないので、小さく頷いた。


 二人で病院の中庭に出ると、人の少ない場所を選んだ。
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