目と目を合わせてからはじめましょう
 病室で、雨宮が検査から戻るのを待った。

 「咲夜、待たせたな」

 それほど待つこともなく、雨宮が戻ってきた。ベッドに腰掛けると、私と向き合う型になった。

 「痛みはどう?」

 包帯の巻かれた、雨宮の頭と腕に目を向けた。

 岸川の事を話そうか迷ったが、ここで言うことでもないだろうし、岸川の気持ちまで私が伝えるのは違う気がした。


 「ああ、傷も浅いし、大したことはない。心配かけたな」

 「うん。心配し過ぎて、こんなおかしな心臓の音になったの始めてだよ」

 「そりゃ、咲夜の方が心配だ。検査してもらうか?」

 「もう、大丈夫です」

 チロリと雨宮を睨む。本当に、無事で良かった。


 「おお、雨宮君大丈夫か?」

 ノックと同時に入ってきたのは、パパとママだ。悠矢もいる。手には、果物やケーキの箱らし敷物を抱えている。

 「あ、こんな遠くまで来てくださったのですか?」

 「いいのよ。咲夜を連れて来なきゃだったし、私達も心配しで落ち着かなかったから」

 ママは雨宮さんの横に行き、心配そうに包帯の上から手を当てている。

 「心配おかけし、申し訳ありません」

 雨宮が、本当に申し訳なさそうに頭を下げる。


 「そんな事言わなくていい。心配するのは当然だろ」

 パパが、相変わらず甘い笑みを見せて言った。


 すると、またノックと同時に扉が空いた。

 「雨宮君!」

 えっ。嘘でしょ? 
< 155 / 171 >

この作品をシェア

pagetop