目と目を合わせてからはじめましょう
 じーちゃんと美和さん、友梨佳おばさんまでいる。

 「どうしたのよ?」

 驚きのあまり、そんな言葉しか出ない。

 「悠矢から聞いて、どうしても来るって聞かないから。ごめんなさいね」

 友梨佳おばさんが、申し訳なさそうに雨宮を見た。

 「いえ。本当に心配おかけして申し訳ありません」

 「心配したよ。ワシの大事な雨宮君だからな」

 じいちゃんはニヤリと笑った。

 「だからって、こんな遠くまで……」

 呆れるとはこの事だ。


 「もう、バレておるから言うが、雨宮君と咲夜を出合わせたのはワシだからな。でも、二人とも大丈夫そうで良かったよ」

 「二人共?」

 私は首を傾げた。

 「怪我のことも心配だったが、お互い自分のせいだと思っておるんじゃないかと思ってな。だが、二人とも落ち着いた顔をしておる。そうやって、ちゃんと二人で決めて行けばいい。ワシらは、応援隊のようなもんだ」

 「もう、よくわかんないよ」

 私は、ずらりと病室に並んだ、おかしな親族を眺めた。

 「ありがとうございます」

 そんな人達に、雨宮は深々と頭を下げていた。

 「私達の事は、心配しなくていいからね。近くによく行く温泉宿があるから、一泊して行くわ」

 友梨佳おばさんが、楽しそうに言った。何が目的で来たのか分からないが、それも雨宮への配慮の言葉なのだろう。


 それぞれが、なんやかんやと雨宮に言葉を交わし、病室を出て行った。一体、この人達はなんなのだろう?雨宮の事を心配しての事だろうが 自分の身内ながら理解し難いものがある。

 「ごめんなさい、騒がしくて」

 「本当にな。変わった人達だ」

 だけど、言葉とは反対に雨宮にしては珍しく微笑んでいるように見えた。

 「もしかして笑ってる?」

 「ふっ。まあな。始めは、無理矢理な所もあると思ったが、そのおかげで咲夜を知る事が出来たんだからな。一緒にいて、悪い方には進まない気がする」

 「なんだか、洗脳されちゃっている気がするな」

 「はははっ。それでも、一緒にいるって決めたのは俺達だろ?」

 「うん。そうだね。私が一緒に居たいって思ったんだもの」

 さっき、岸川に言われた事が気にならない訳ではないが、やはり、私の思いと雨宮の思いは同じだったと思えた。わからない事はたくさんあるけど、少しづつ、そんな思いを積み重ねていければいいと思った。

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