目と目を合わせてからはじめましょう
 やっぱりな……

 「えっ? どうだったかな? 太一さんの声、聞きたくなったんだと思う」

 「ふーん。どうしてだ?」

 俺は、咲夜へ視線を向けた。それだけなのに、咲夜の目は泳いでいる。俺の目を誤魔化せるとでも思っているのだろうか?


 「どうして?って、そりゃ、何日も離れていたら、声聞きたくなるよ」

 「そりゃそうだろうが、それだけじゃないよな?」

 「う〜ん。もう! 機嫌悪くならないでよ!」

 「分った。ちゃんと話せ」

 「はあー 池山先輩に告白されたのよ。太一さんの怪我の事で、すっかり忘れてた」

 「だったら、そのまま忘れてろ」

 一気に、腹の中がカッと熱くなった。

 「もう! 思い出させたのは、太一さんでしょ。それに、なんでそんな怖い顔になるのよ。機嫌悪くならないって約束したのに」

 「機嫌は悪くない」

 ただ、苛立つだけだ。

 「ウソ」

 咲夜が嫌そうな顔を俺に向ける。


 「それで、なんて答えたんだ?」

 「太一さんがいるんだから、お断りしたよ。当たり前じゃない」

 「ほうー」

 俺は、自分の顔が緩んだ事には気付かなかった。

 いきなり、俺の頬を咲夜が両手でパチンと覆った。

 「痛っ」

 「全く。太一さん以外の人なんて考えられないよ」

 そのまま、咲夜が近づいてきて、チュッとキスして、そのまま立ち上がって行ってしまった。

 咲夜からキスされた事に、俺の中の全てが熱くなる。


 「おい。逃げるのか?」

 「逃げてない。夕食の買い物に行ってくる」

 そう言った、咲夜の恥ずかしそうな顔が、たまらなく可愛かった。
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