目と目を合わせてからはじめましょう
助手席から降りたのは雨宮だ。背後を確認し、後部座席のドアを開ける、背筋を伸ばし無駄のない動きに見惚れてしまう。
もちろん、後部座席から降りたのは、湯之原のじいちゃんだ。
「また、じいちゃんSP依頼したのよ。狙われてなんかいないのに」
呆れて、ため息が漏れる。
「きっと、また、誰かが襲われた影響でしょ? でも、素敵な雨宮さんの姿見られて嬉しいじゃない」
「まあ、そうだけど……」
皆が、本堂に入ってきて祭壇の前に並び出す。
雨宮は、どんな仕事でも手を抜くことは消してない。
鋭い視線を向けて、入り口に立つ。
始めて、雨宮を見たのも、この場所だ。
鋭い視線を感じるのに、けして目が合うことはない。無表情で、怖いとしか思わなかったこの姿が、今は愛おしくてならない。
毎年の顔ぶれが、誰一人かけることなく揃う。康介おじさんも、友梨佳叔母さんと沖縄から来たのだ。
その時、いつもと違う顔が、礼服姿で入ってきた。
「お義父様!」
「こんにちは。今年から、私も仲間に入れて頂くことになったよ」
お義父様は、お焼香をし遺影の前に手を合わせた。雨宮は何も言っていなかったが、知っていたのだろうか?
「私が、独立して警備会社を始めた時に、湯之原氏には、大変お世話になってね」
「まあ、これからは親戚になるわけだからな」
パパが、私を見た。雨宮との結婚の事を言いたいのだろう。
お義父様も、皆と並んで座った。
私は、驚いて雨宮に目を向けるが、やはり表情ひとつ変えず、視線も合わない。でも、きっと、私が驚いていることも、何もかも分かっているのだろう。
法要が始まると、外から爽やかな春の風がふっと頬を掠るように入ってきた。
大お爺様との過ごした暖かい感情が胸の中で膨らんでくる。一緒にはいないけど、私の中に暖かい感情として残る。きっと、大切な人との出会いと別れは、そういうものなのだろう。池山先輩や岸川との出会いも同じだと思う。そして、ここにいる皆が私には大切な人達だ。
そして、私は雨宮の方に目を向けた。
一瞬だが、雨宮と視線が重なった。
きっと、目と目が合った時から、私達は始まっていたのだろう……
もちろん、後部座席から降りたのは、湯之原のじいちゃんだ。
「また、じいちゃんSP依頼したのよ。狙われてなんかいないのに」
呆れて、ため息が漏れる。
「きっと、また、誰かが襲われた影響でしょ? でも、素敵な雨宮さんの姿見られて嬉しいじゃない」
「まあ、そうだけど……」
皆が、本堂に入ってきて祭壇の前に並び出す。
雨宮は、どんな仕事でも手を抜くことは消してない。
鋭い視線を向けて、入り口に立つ。
始めて、雨宮を見たのも、この場所だ。
鋭い視線を感じるのに、けして目が合うことはない。無表情で、怖いとしか思わなかったこの姿が、今は愛おしくてならない。
毎年の顔ぶれが、誰一人かけることなく揃う。康介おじさんも、友梨佳叔母さんと沖縄から来たのだ。
その時、いつもと違う顔が、礼服姿で入ってきた。
「お義父様!」
「こんにちは。今年から、私も仲間に入れて頂くことになったよ」
お義父様は、お焼香をし遺影の前に手を合わせた。雨宮は何も言っていなかったが、知っていたのだろうか?
「私が、独立して警備会社を始めた時に、湯之原氏には、大変お世話になってね」
「まあ、これからは親戚になるわけだからな」
パパが、私を見た。雨宮との結婚の事を言いたいのだろう。
お義父様も、皆と並んで座った。
私は、驚いて雨宮に目を向けるが、やはり表情ひとつ変えず、視線も合わない。でも、きっと、私が驚いていることも、何もかも分かっているのだろう。
法要が始まると、外から爽やかな春の風がふっと頬を掠るように入ってきた。
大お爺様との過ごした暖かい感情が胸の中で膨らんでくる。一緒にはいないけど、私の中に暖かい感情として残る。きっと、大切な人との出会いと別れは、そういうものなのだろう。池山先輩や岸川との出会いも同じだと思う。そして、ここにいる皆が私には大切な人達だ。
そして、私は雨宮の方に目を向けた。
一瞬だが、雨宮と視線が重なった。
きっと、目と目が合った時から、私達は始まっていたのだろう……