目と目を合わせてからはじめましょう
 あっという間に時間が過ぎ、ママがケーキを用意してくれた。

 「ママ。ブランデー入れてないわよね?」

 悪夢を思い出し、慌ててママに聞く。

 「入れてないけど、ブレンデー苦手な方がいるの?」

 えっ? 絶対知らないわけない。確信犯だ。


 私は、ケーキと紅茶の匂いを嗅ぐ。

 「大丈夫みたいよ」

 雨宮のケーキと紅茶を、私の確認した物と交換してテーブルに置き直した。

 「それなら、安心した」

 雨宮も、同じことを思ったようで、ホッと息を吐いた。


 「雨宮さん、お母さんにも持って行ってちょうだい」

 「ありがとうございます」

 お義父様も、頭を下げた。その顔は、少し寂しそうに見えた。お義父様にも、一緒にいなくてもお義母様一と過ごした感情が、亡くなった悲しみより大きく残っていて欲しいと思う。


 「これは、リラックス出来るお茶よ。寝る前にでも飲んでね」

 ママから、残ったお料理の詰めた袋と一緒に渡された。

 「ありがとう」

 マンションに戻り、一息つく。そうは言っても法事だから疲れる。


 「先にお風呂はいいてきていいよ」

 雨宮に声をかけると、お風呂へと向かって行った。


 もらったお料理を冷蔵庫に入れて、水筒のお茶をカップにたっぷりと注いだ。リラックスできると言うから口にすると、ブランデーの香りが広がった。

 もー、何を考えているのか?


 「咲夜も入ったらどうだ?」

 雨宮がお風呂から上がって戻ってきた。


 「うん。そうする」

 お風呂の準備をしようと、洗濯物の中から着替えを確認している一瞬だった。

 キチンでカタンッと音がしたので振り向いた。


 「ああー それだめ!」


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