目と目を合わせてからはじめましょう
 「本当に、もう結構ですので」

 雨宮の困惑した表情が、目の前にある。

 「せっかくですので、最後までリラックスしてお過ごしください」

 リラックスなんてできるか!

 「腕をあげますね」

 横になったまま、腕を持ち上げられた。


 エステティシャンの手が、脇腹をマッサージし始めた。

 「キャハッ」

 思わず、くすぐったくて体を跳ねさせてしまった。

 ヒラリ
 えっ?

 タオルが床に落ちてしまった。

 ぽろりん!

 まさかと思いたいけど、片手を上にあげたまま、おっぱい出ちゃってるよね?

 人というものは、あまりに驚くと、瞬間的に動けなくなるのだと知った。


 片手を上げて、おっぱい出たまま、雨宮と目が合ってる。 ていうか、雨宮、目見開いてない?

 「きゃああーー」

 慌てて、胸を両手で隠した。

 「申し訳ございません。すぐに新しいタオルを持ってまいります」

 いいよ、新しいのなんて。そのタオル拾ってください。

 雨宮が、何も言わずゆっくりと目を閉じたのが分かった。


 もう、最悪だ。今度は、真っ裸に紙パンツ姿見られちゃったよ。

 「そろそろお時間になりますので、終わりにさせて頂きます」

 雨宮を担当していたエステティシャンが言った。
 終わり?
 タオル取りに行くのに、えらく時間かかってない?


 「ハーブティーを用意させて頂いてありますので、着替えがお済みになりまあいたらお飲みください」

 エステティシャンは部屋から出て行ってしまった。
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