目と目を合わせてからはじめましょう
 着替えたくても、このままじゃ手を動かすことすらできない。

 すると雨宮が立ち上がり、ベッドの間のカーテンを閉めた。

 「チラッとしか、見てないから」

 チラッと? チラッとだって見た事には変わりない。いやいや、目見開いてましたよね?


 「もう! 知らない!」

 持ってきたワンピースへと、手早に着替えた。恥ずかしいしやら、悔しいやら。
 それでも飲まなきゃ損な気がして、冷えたハーブティーそ一気に飲み干すと、逃げるようにエステルームを出た。


 「あら、咲夜ちゃんどうだった?」

 呼び止められら声に振り向く。

 「叔母さん! 何しているのよ!」

 「何って? 見ればわかるでしょ? ネイルよ。普段は、ピアノ弾くからできないでしょ? たまにはいいかなと思ってね」

 友梨佳叔母さんは、入り口の隣にあるネイルルームの椅子に座り両手をテーブルに乗せていた。

 「そうじゃなくて、マッサージするんじゃなかったの?」

 「ああ。湯之原のお爺様が、マッサージしたいっていうから代わったのよ」

 「そんな、勝手に! マッサージしているの、じいちゃんじゃないじゃん!」

 ジタバタして、大きな声を上げた。


 「おお! 咲夜」

 じいちゃんが、遊歩道を呑気に歩いて来た。

 「じいちゃん何処に行っていたのよ?」

 「ああ。マッサージしようと思ったら、リンパマッサージは、血圧がどうのこうのと言われて、雨宮君に代わってもらったんじゃよ」

 「それならそうと言ってよ。カップルプランなんて困るのよ」

 「そうだったわね。別にカップルプランて、二人組なら誰でもいいって言われたのよ。何も問題なかったでしょ?」

 「もう、問題あるに決まってるじゃない!」

 「何かあったの?」

 友梨佳叔母さんが、ネイルされた手を嬉しそうに動かしながら言った。

 うっーー 言いたいけど言えない……
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