目と目を合わせてからはじめましょう
 次の日、沖縄の旅も終わりを迎えた。
 空港には雨宮もいるが、任務は終了したといえ、皆の輪からは外れたとことに座っていた。

 皆の前で、雨宮に声をかけることに躊躇っていた。と言うか、話しかける言葉が見つからない。


 飛行機に搭乗するが、私の席からは、雨宮の頭だけが見えた。なんだか、もどかしさを感じる。別に話をしたいわけでもないのに。
 行きのフライトの時のようなワクワクする気分は無い。旅行も終わりなのだから当たり前だ。


 飛行機をお降りて、到着ロビーに辿り着いた。

 「じいちゃん達は、俺が送って行くよ」

 悠矢が言った。

 「そりゃそうでじょ。あんた運転手なんだから」

 ママがため息まじりに言う。ごもっともだ。


 「それじゃあ、お疲れ様でした」

 挨拶を済ませると、皆がそれぞれに帰る方向へと歩き出した。


 「咲夜はどうやって帰るんだ?」

 パパが私に聞く。

 「電車で帰るよ」

 「それなら、雨宮君に送ってもらったらどうだ?」

 じいちゃんが、またもや言う。



 私は大きく深呼吸をした。

 「私は、一人で大丈夫。皆の企みは分かっていますから! これ以上、雨宮さんにご迷惑おかけしないで下さい」

 「何を言ってるんだ。不審者だって出ているだろ?」

 「もういいって! そんなの皆が考えた嘘でしょ。もういいから! お疲れ様」

 私はくるりと向きを変えて歩き出した。

 「おい、咲夜!」


 パパの声が聞こえたが、振り向かなかった。


 不審者なんて嘘。もう、雨宮に助けてもらう理由はないのだ。そう思ったら、目の辺りが熱くなってきた。

 えっ。どうして?

 グッと歯を食いしばって、全てを吹っ切るよにに早足で歩いた。
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