婚前どころか、フリですが ~年下御曹司?と秘密の溺甘同居~
「嬉しいよ。 栞さんがちゃんと好きな人と幸せになる未来を掴んだこと」
「小春さ〜ん!」

栞さんまで瞳を潤ませるから思わず笑ってしまう。菫のことも栞さんのことも、自分の事のように嬉しい。良い話を聞いて、今日はよく眠れそうだ。

「小春さんは翔のことで、何か困っていることはないですか?」

唐突に言われてどきりとする。今日あったこと、話してもいいだろうか。幸せいっぱいのはずの彼女に水を差すことになってしまう。

「私で良かったらなんでも聞きます。小春さんにはいつも話を聞いてもらってばかりなので」
「栞さん…。 実はね、少し前に宣戦布告みたいなのをされたの」

栞さんは訝しげな顔をする。それはそうだ。宣戦布告なんて、漫画じゃあるまいし。

「翔くんのことを愛してるって言ってた。 自分の方が彼に相応しいって、ものすごい自信があるみたい。 ちょっと危ない感じもしたから、翔くん大丈夫かなって」
「なんですかその女…! 翔はバカだけど、そんな女にほいほいついてくほど腐ってはいませんよ!それに、小春さんのことが好きで好きで仕方ないってうざいほど伝わってくるんだから大丈夫です!」

感情を露わにして怒る栞さんに、私は思わず笑ってしまった。

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