婚前どころか、フリですが ~年下御曹司?と秘密の溺甘同居~
「小春さん」
私の意識をぐるぐると頭の中を回る思考から引っ張り出したのは、翔くんの声だ。
「小春さん、眉間の皺、解して。 将来に響きますよ」
「…夏樹くん。 それって、老けるってこと?」
翔くんは私だけに聞こえる声で話す。
「俺は小春さんがしわしわのおばあさんになっても好きですけど。 思い詰めたような顔は見過ごせません。 またいろいろ考えてましたね」
「うっ…ごめん。悪い癖なのは分かってるんだけど。 そうだよね、あれこれ考えても仕方ないんだよね」
誰かのミスが、まるで自分に起こったみたいに考えて、どうすれば防げるのか、もっと気をつけた方がいいのでは、なんて、取り留めのない思考でいっぱいになる。それはもう性格がそうさせているのは分かっていて、たらればを考え続けるのは時間の無駄なのだとも頭では理解している。でも、脳が勝手にぐるぐると動き出すのだ。夏樹くんは、そんな私に気がついていつもその思考を止めてくれる。夏樹くんに会う前は、そういう考えすぎモードになった日は疲れが割増になって襲ってきて、帰宅するなり眠りこける、までがセットだった。
私の意識をぐるぐると頭の中を回る思考から引っ張り出したのは、翔くんの声だ。
「小春さん、眉間の皺、解して。 将来に響きますよ」
「…夏樹くん。 それって、老けるってこと?」
翔くんは私だけに聞こえる声で話す。
「俺は小春さんがしわしわのおばあさんになっても好きですけど。 思い詰めたような顔は見過ごせません。 またいろいろ考えてましたね」
「うっ…ごめん。悪い癖なのは分かってるんだけど。 そうだよね、あれこれ考えても仕方ないんだよね」
誰かのミスが、まるで自分に起こったみたいに考えて、どうすれば防げるのか、もっと気をつけた方がいいのでは、なんて、取り留めのない思考でいっぱいになる。それはもう性格がそうさせているのは分かっていて、たらればを考え続けるのは時間の無駄なのだとも頭では理解している。でも、脳が勝手にぐるぐると動き出すのだ。夏樹くんは、そんな私に気がついていつもその思考を止めてくれる。夏樹くんに会う前は、そういう考えすぎモードになった日は疲れが割増になって襲ってきて、帰宅するなり眠りこける、までがセットだった。