婚前どころか、フリですが ~年下御曹司?と秘密の溺甘同居~
「そうですよ。 それに、今は俺がいます。小春さん、俺が優秀な部下だって信じてくれてるんでしょ?」

にっと得意そうな顔をしてみせる翔くんの、なんと頼もしいことか。私はいつも、彼の嫌味のない自信と強さに助けられている。どっちが先輩なのやらって感じだ。弟と年が同じくらいとは思えない。

「うん、ありがとう。 でもそれ、自分で言っちゃう?」
「こ、小春さんが自信なさそうにするから…」

だから俺がその分も、って。よく分からない理論だけど、その優しさはすごく伝わる。だからちょっといじわるをしたくなっただけで。ごめん、翔くん。

「分かってるよ。ごめんね」

ちょっぴり不服そうにする翔くんに囁くと、彼はすぐに「許します」と美しく笑った。
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