婚前どころか、フリですが ~年下御曹司?と秘密の溺甘同居~
なんでも、ってわけにはいかないけどね。だってここ、相当値が張るんでしょう? そういう空気醸し出してるもんね。それをものともしない財力をお持ちなのね、あなたって人は。
後輩にここまで言われて、まだ控えめになんて言ってられない。
物欲があんまりないおかげで地味に溜まり続ける貯金があるんだし、たまにはこういうのもいいよね。せっかくのVIP体験、翔くんには感謝して楽しんでしまおう。
それからは普通に食事を楽しんだ。いつもと違う空気感、隣に座る翔くんとの距離は居酒屋さんの時と変わらないはずなのに、肩が触れると心臓がいちいち跳ねた。顔には出さないように気をつけたから、翔くんにはバレてないと思う。
「そろそろ行きましょうか」
「え、もう?」
いつもだったら、まだこれからって感じの時間なのに。
「小春さん、眠いでしょ」
翔くんがくすっと控えめに笑う。私はびっくりして彼を凝視した。
「なんで分かったの?」
「…なんとなくです」
一瞬考えるような間があったような。なんだろう、そんなに分かりやすかったのかな。なんにしても、教えてくれるつもりはないみたいだけど。
彼は私のコートを持ってきてくれる。席を立って、そのままレストランを出た。
…お会計…しないのね…。どういう仕組みなのかは分からないけど、後から請求が来たりするのかな? 翔くんが先に支払った素振りはなかったし、ずっと一緒にいたからそんな隙もなかったはず。
エレベーターに乗って、少し考えてから口を開いた。
後輩にここまで言われて、まだ控えめになんて言ってられない。
物欲があんまりないおかげで地味に溜まり続ける貯金があるんだし、たまにはこういうのもいいよね。せっかくのVIP体験、翔くんには感謝して楽しんでしまおう。
それからは普通に食事を楽しんだ。いつもと違う空気感、隣に座る翔くんとの距離は居酒屋さんの時と変わらないはずなのに、肩が触れると心臓がいちいち跳ねた。顔には出さないように気をつけたから、翔くんにはバレてないと思う。
「そろそろ行きましょうか」
「え、もう?」
いつもだったら、まだこれからって感じの時間なのに。
「小春さん、眠いでしょ」
翔くんがくすっと控えめに笑う。私はびっくりして彼を凝視した。
「なんで分かったの?」
「…なんとなくです」
一瞬考えるような間があったような。なんだろう、そんなに分かりやすかったのかな。なんにしても、教えてくれるつもりはないみたいだけど。
彼は私のコートを持ってきてくれる。席を立って、そのままレストランを出た。
…お会計…しないのね…。どういう仕組みなのかは分からないけど、後から請求が来たりするのかな? 翔くんが先に支払った素振りはなかったし、ずっと一緒にいたからそんな隙もなかったはず。
エレベーターに乗って、少し考えてから口を開いた。