婚前どころか、フリですが ~年下御曹司?と秘密の溺甘同居~
ふたりがどういう関係でもいい…って言うつもりだったのに。
「俺の、許嫁なんです。 葉山栞(はやま しおり)。前に話した、結婚させられそうになってる相手です」
「…ああ! あなたが!」
なるほど。この美女さんが翔くんのお相手なのね。えぇ、絶対私より良い人じゃん? 美人だし、翔くんも素で話せるみたいだし。この人を差し置いて何故私をご所望で…?
「させられそうって、それはこっちも同じよ! その嫌味な性格何とかしたらどうなの」
「そっちが妙な言い方するからだろ。小春さんを惑わせるようなこと…」
「彼女、全然動揺してるように見えないけど? どうせ翔の片思いなんでしょ。それにしたって脈ナシね、かわいそうに」
ふんっと嘲笑うような美女の完全なる勝利って感じだ。翔くんは押し黙る。いつも私をあの手この手で誘惑しようとしてくる彼が、幼馴染で許嫁の美女に言い負かされているのは新鮮で、ちょっと面白い。
「そんなの分かってる! だから今いろいろ考えて…」
「だいたい、翔は子どもっぽすぎるのよ。3歳の頃から売られた喧嘩は買って負けるスタイル、全然変わってないものね」
「おまっ、小春さんの前でそんな話…!」
ああ、エレベーターよ早くつけ。このふたり、永遠に言い合ってそうだ。口を挟むに挟めないし、見た目は厳ついのに存在を忘れそうなくらい影の薄いスーツの彼も相まって、カオスだから。
「何よ、恥ずかしいの? いつもカッコつけてすかした顔してるんでしょう? そういう可愛い部分を見るとね、意外とギャップが刺さったりすんのよ。そんなことも知らないの?」
にやにやと楽しそうな美女、葉山栞さん。またも
「俺の、許嫁なんです。 葉山栞(はやま しおり)。前に話した、結婚させられそうになってる相手です」
「…ああ! あなたが!」
なるほど。この美女さんが翔くんのお相手なのね。えぇ、絶対私より良い人じゃん? 美人だし、翔くんも素で話せるみたいだし。この人を差し置いて何故私をご所望で…?
「させられそうって、それはこっちも同じよ! その嫌味な性格何とかしたらどうなの」
「そっちが妙な言い方するからだろ。小春さんを惑わせるようなこと…」
「彼女、全然動揺してるように見えないけど? どうせ翔の片思いなんでしょ。それにしたって脈ナシね、かわいそうに」
ふんっと嘲笑うような美女の完全なる勝利って感じだ。翔くんは押し黙る。いつも私をあの手この手で誘惑しようとしてくる彼が、幼馴染で許嫁の美女に言い負かされているのは新鮮で、ちょっと面白い。
「そんなの分かってる! だから今いろいろ考えて…」
「だいたい、翔は子どもっぽすぎるのよ。3歳の頃から売られた喧嘩は買って負けるスタイル、全然変わってないものね」
「おまっ、小春さんの前でそんな話…!」
ああ、エレベーターよ早くつけ。このふたり、永遠に言い合ってそうだ。口を挟むに挟めないし、見た目は厳ついのに存在を忘れそうなくらい影の薄いスーツの彼も相まって、カオスだから。
「何よ、恥ずかしいの? いつもカッコつけてすかした顔してるんでしょう? そういう可愛い部分を見るとね、意外とギャップが刺さったりすんのよ。そんなことも知らないの?」
にやにやと楽しそうな美女、葉山栞さん。またも