婚前どころか、フリですが ~年下御曹司?と秘密の溺甘同居~
「私は葉山さん好きだけどなぁ。 全然知らないけど、翔くんとのコンビネーションはなかなか良いよね」
翔くんは盛大にため息をついて、ちょっと泣きそうな目で見てくる。
「なんで俺じゃなくて栞の方を好きになってるんですか!」
思わずくすくすと笑ってしまった。いつも割と飄々としている彼が、今はただ少年のようだ。ジェントルマン翔くんもいいけど、こっちの彼も結構……けっこう…?
結構、なに? 私今、好きって……いや、人として、人として好きって意味でしょ?
ああもう、こんなふうに思っちゃう時点でダメだ。翔くんの日々の猛攻に、少しずつ絆されているのを自覚してしまう。いつか、可愛い後輩じゃなくなる時がくるんじゃないかって、最近思うのだ。1年も彼の気持ちには答えられないと言い続けてきたのに、今揺れているのは否定できない。自分の気持ちがよく分からない。
「…そうだ。 明日、部屋に荷物を取りに行ってくるね」
どんどん翔くんでいっぱいになる自分の思考を振り切るように、ぱっと話題を切替える。別に、不自然ではなかったはず。
「それなら俺も行きますよ。 まだ空き巣の犯人捕まってないみたいで心配ですし、車も出します」
「心配しすぎだよ。ちょっとだけだし大丈夫だと思うけど…」
「俺が小春さんといたいだけです。 あと、ついでにサウスエリアのショッピングモールに付き合ってくれませんか? ほしいものがあって」
ずるいなぁ、ほんと。そう言われたら、私が断らないの知ってて言ってるでしょ。
「それはもちろん。 じゃあ車、お願いしようかな。 翔くんがほしいものって珍しいね」
「そうですか?」
彼はきょとんと首を傾げる。
「うん。無私無欲って感じする。家も物が少ないよね」
「物はたしかに少ない方かもしれないですけど…欲はあります。だって俺、小春さんがほしくて堪らないんですよ」
行き交う車の騒音に紛れて、でもはっきりと耳に届いてしまう彼の言葉。何度聴いたって、これには慣れる気がしない。
「それは困った欲だね」
翔くんは盛大にため息をついて、ちょっと泣きそうな目で見てくる。
「なんで俺じゃなくて栞の方を好きになってるんですか!」
思わずくすくすと笑ってしまった。いつも割と飄々としている彼が、今はただ少年のようだ。ジェントルマン翔くんもいいけど、こっちの彼も結構……けっこう…?
結構、なに? 私今、好きって……いや、人として、人として好きって意味でしょ?
ああもう、こんなふうに思っちゃう時点でダメだ。翔くんの日々の猛攻に、少しずつ絆されているのを自覚してしまう。いつか、可愛い後輩じゃなくなる時がくるんじゃないかって、最近思うのだ。1年も彼の気持ちには答えられないと言い続けてきたのに、今揺れているのは否定できない。自分の気持ちがよく分からない。
「…そうだ。 明日、部屋に荷物を取りに行ってくるね」
どんどん翔くんでいっぱいになる自分の思考を振り切るように、ぱっと話題を切替える。別に、不自然ではなかったはず。
「それなら俺も行きますよ。 まだ空き巣の犯人捕まってないみたいで心配ですし、車も出します」
「心配しすぎだよ。ちょっとだけだし大丈夫だと思うけど…」
「俺が小春さんといたいだけです。 あと、ついでにサウスエリアのショッピングモールに付き合ってくれませんか? ほしいものがあって」
ずるいなぁ、ほんと。そう言われたら、私が断らないの知ってて言ってるでしょ。
「それはもちろん。 じゃあ車、お願いしようかな。 翔くんがほしいものって珍しいね」
「そうですか?」
彼はきょとんと首を傾げる。
「うん。無私無欲って感じする。家も物が少ないよね」
「物はたしかに少ない方かもしれないですけど…欲はあります。だって俺、小春さんがほしくて堪らないんですよ」
行き交う車の騒音に紛れて、でもはっきりと耳に届いてしまう彼の言葉。何度聴いたって、これには慣れる気がしない。
「それは困った欲だね」