婚前どころか、フリですが ~年下御曹司?と秘密の溺甘同居~
「彼の都合もあるからすぐには無理だよ」
「そんくらい分かってる。でも俺来月の終わりには長期出張に出るから。それまでに会わせろ、絶対」

ああ、困った。遥太に翔くんを紹介しなければいけなくなった。




「いいですよ、俺はいつでも」
「え、そんなあっさり…?」

朝の一件を帰宅して翔くんに話すと、彼は嫌な顔ひとつせず遥太に会うのを了承してくれた。

「俺、一応彼氏ですからね。小春さんは俺の彼女です」
「フリね、フリ。 でも良かった。翔くんがいいって言ってくれて。会って早々どこの男と住んでるんだって核心ついてくるから焦ったよ」
「やっぱりご挨拶にいくべきでは…」

神妙な顔で言い出すので慌ててぶんぶんと首を振る。紹介するなんて言ったら、やれ結婚だのと騒ぎ出しかねない。父のあの言い方からしても、本当に大事な時に実行するべきだろう。

「それはほんとに大丈夫! だってほら、ずっと続くわけじゃ…ないと思うし…」
「…小春さん、そこは言いきらないんですね」

うっ、しまった…つい気が緩んで曖昧なことを…。

「と、とにかく、翔くんに会えば遥太も大人しくなると思うんだよね」
「弟さんに認めてもらえるように頑張ります」

そんなに気合いを入れなくても…。彼氏が仮にも実在するって分かればそれで満足するはずだから。
3人での臨時顔合わせの会は次の週末に決まった。


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