余命2年の初恋泥棒聖女は、同い年になった年下勇者に溺愛される。
家令に続いて邸を目指す。領主邸は小高い丘の上にある。ここから歩いて5分ほどだ。
「可愛いお花ですね」
ミラは言いながら手元を覗き込んだ。すんすんと鼻を鳴らして甘酸っぱい表情を浮かべる。
「アタシの村にも植わってましたよ。名前はえーっと……何だったっけ?」
「『貧乏草』だ」
レイが透かさず答えた。彼は相変わらずの全身黒ずくめ。革製の黒のジャケット、パンツ、ブーツスタイルを貫き通している。
「そんな言い方あんまりだわ」
「手入れも施していない庭にも生えることからその名がついたそうです。花言葉は『追想の愛』……っは、身の程知らずなマセガキにはふさわしい花と言えるのかもしれませんね」
「へぇ~、随分とお詳しいのですね?」
「……あ?」
指摘したのはビルだった。鬼の首でも取ったかのような得意気な顔をしている。
「レイ殿にも贈られたご経験があるのでは?」
「そっか! だから詳しいんですね♪」
ミラが勢いよく便乗した。それを受けて騎士達がどっと沸く。数にして10人ほど。皆揃いの銀色の鎧を着て、各々自慢の武器を装備している。年齢は平均30歳前後。全員男性だ。
いずれも王国騎士団の所属で、彼らが纏う白いマントには騎士団の証である剣と杖を掴む不死鳥の紋章が刺繍されている。
「んな訳あるか。俺はたまたま本で読んで――」
「ねえねえ! 相手は誰なんですか???」
「……くっだらねぇ……」
「ちょっ! 逃げないでくださいよ! もっと詳しく聞きたいです!」
ミラの猛攻が続く。面白がっているのもあるが、単純に親しくなりたいとの思いもあるのだろう。
レイは基本自分語りをしない。他人も遠ざけがちであるために、親しくなるきっかけを得にくいのだ。
(かく言うわたくしもその機を逃し続けている者の一人。もう10年近い付き合いになるというのに)
エレノアは自嘲気味に笑いつつ、内心で小さく溜息をついた。
「可愛いお花ですね」
ミラは言いながら手元を覗き込んだ。すんすんと鼻を鳴らして甘酸っぱい表情を浮かべる。
「アタシの村にも植わってましたよ。名前はえーっと……何だったっけ?」
「『貧乏草』だ」
レイが透かさず答えた。彼は相変わらずの全身黒ずくめ。革製の黒のジャケット、パンツ、ブーツスタイルを貫き通している。
「そんな言い方あんまりだわ」
「手入れも施していない庭にも生えることからその名がついたそうです。花言葉は『追想の愛』……っは、身の程知らずなマセガキにはふさわしい花と言えるのかもしれませんね」
「へぇ~、随分とお詳しいのですね?」
「……あ?」
指摘したのはビルだった。鬼の首でも取ったかのような得意気な顔をしている。
「レイ殿にも贈られたご経験があるのでは?」
「そっか! だから詳しいんですね♪」
ミラが勢いよく便乗した。それを受けて騎士達がどっと沸く。数にして10人ほど。皆揃いの銀色の鎧を着て、各々自慢の武器を装備している。年齢は平均30歳前後。全員男性だ。
いずれも王国騎士団の所属で、彼らが纏う白いマントには騎士団の証である剣と杖を掴む不死鳥の紋章が刺繍されている。
「んな訳あるか。俺はたまたま本で読んで――」
「ねえねえ! 相手は誰なんですか???」
「……くっだらねぇ……」
「ちょっ! 逃げないでくださいよ! もっと詳しく聞きたいです!」
ミラの猛攻が続く。面白がっているのもあるが、単純に親しくなりたいとの思いもあるのだろう。
レイは基本自分語りをしない。他人も遠ざけがちであるために、親しくなるきっかけを得にくいのだ。
(かく言うわたくしもその機を逃し続けている者の一人。もう10年近い付き合いになるというのに)
エレノアは自嘲気味に笑いつつ、内心で小さく溜息をついた。