余命2年の初恋泥棒聖女は、同い年になった年下勇者に溺愛される。
「到着致しました」

「ありがとう」

 30分後、エレノア達は再びポップバーグへ。馬車は広場に停まった。

 建物への被害は見受けられない。魔物の発生源と見られる森の近くに防衛線を張り、村への侵入を食い止めているようだ。

 実に見事だが、人的被害をゼロにすることは叶わなかったようだ。広場の中心部には負傷した人々の姿が。その数23名。いずれも男性。防具を着用していることから団員であろうと推察する。

「きゃっ!?」

 突如、何の前触れもなく雷鳴が(とどろ)いた。耳を(つんざ)くような苛烈な音だ。エレノアを始め、皆が堪らずといった具合に耳を塞ぐ。

(森の方から? 相当に激しい戦闘が行われているようね)

 建物に阻まれ、加えて距離もあるために戦況を(うかが)い知ることは出来ない。ただ、ここからでも出来ることはある。

(……よし)

 エレノアは静かに目を閉じてそっと両手を組んだ。

「っ! なっ、何!?」

「なっ、何だ!?」

 村は一瞬にして虹色のオーラに包まれた。

(良かった。成功ね)

 エレノアは控えめに息をつきながらそっと胸を撫で下ろした。

「これは……?」

 宙を漂う小さな光。その光はミラの手に触れるなりふわりと消えた。あれは光魔法の残滓。はらはらと舞い落ちるその様は、(さなが)ら粉雪のようだ。

「結界です。魔物を弱体化あるいは死に至らしめる効果を持ちます」

 皆の意識がエレノアへ。半ば茫然としていた表情が輪郭を帯びた明瞭なものになっていく。

「すっ、すごい! すごいです、エレノア様!!」

 注がれる。感謝と尊敬の眼差しが。
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