余命2年の初恋泥棒聖女は、同い年になった年下勇者に溺愛される。
レイはエレノアの元婚約者である勇者・クリストフを始めとしたλ達と作戦を巡り度々対立。自分を含めたμの命すら軽んじるλ達の姿勢に我慢ならなかったようだ。結果、度重なる遠征失敗の責任を背負わされて解任。賢者のライセンスも剥奪されてしまった。
ビルもまたλの思想に反感を抱いていたが、男爵家の次男という立場上やむを得ず従っていた。すると思いがけず気に入られてしまい、やたらと贔屓されるように。λとμの板挟みにあいながらも懸命に任務をこなしていたが、最終的にクリストフの父・リリェバリ公爵の不敬を買い、剣聖のライセンスはおろか実父から勘当されて貴族の身分すら失ってしまう。
「ヒゲのオッサンはともかく……このにーちゃんが? 何したんだよ?」
「あ゛? 俺はまだ29――」
「婚約の打診に難色を示してしまったんだ。本来は迷わず『喜んで』って、お返事をしなくちゃいけないんだけど――」
「あっ! 分かった! 相手のオンナがすっげぇブスだったんだろ?」
「こらッ! ユーリ!」
青褪めるユーリの母を他所にビルは表情を和らげる。遠慮のえの字もない物言いに救われた心地になったのだろう。
「戸惑ってしまったんだ。いや、現実に打ちのめされたと言った方がいいのかな。最高位のライセンスを手にしたところで、結局は剣一本じゃ生きていけない。……許されない。そう思い知らされたようで」
「??? ふ~ん……?」
ぴんと来ていない上に、さほど興味もないのだろう。ユーリは頬を膨らませてぷっと息をついた。
「でもさ、その……なんっつーかバカだよな」
暫しの沈黙の後、ユーリが半ば独り言のように切り出した。その声には呆れと怒りの感情が滲んでいるように思う。
「ケンカなんかしてる場合じゃないだろ? 魔物は倒しても倒しても減らないし、それに……どんどん強くなってきてる。ケンカしている間に全部壊されて誰もいなくなっちまう。そんなところで威張ったって何にもならないだろ」
ユーリはまだ年端も行かない10歳の子供だ。にもかかわらず、こういった達観した考えを持つに至っているのは、戦いの中で肉体と精神に磨きをかけているから。彼なりにしっかりとした考えを持って剣を握っているのだとひしひしと実感した。
ビルもまたλの思想に反感を抱いていたが、男爵家の次男という立場上やむを得ず従っていた。すると思いがけず気に入られてしまい、やたらと贔屓されるように。λとμの板挟みにあいながらも懸命に任務をこなしていたが、最終的にクリストフの父・リリェバリ公爵の不敬を買い、剣聖のライセンスはおろか実父から勘当されて貴族の身分すら失ってしまう。
「ヒゲのオッサンはともかく……このにーちゃんが? 何したんだよ?」
「あ゛? 俺はまだ29――」
「婚約の打診に難色を示してしまったんだ。本来は迷わず『喜んで』って、お返事をしなくちゃいけないんだけど――」
「あっ! 分かった! 相手のオンナがすっげぇブスだったんだろ?」
「こらッ! ユーリ!」
青褪めるユーリの母を他所にビルは表情を和らげる。遠慮のえの字もない物言いに救われた心地になったのだろう。
「戸惑ってしまったんだ。いや、現実に打ちのめされたと言った方がいいのかな。最高位のライセンスを手にしたところで、結局は剣一本じゃ生きていけない。……許されない。そう思い知らされたようで」
「??? ふ~ん……?」
ぴんと来ていない上に、さほど興味もないのだろう。ユーリは頬を膨らませてぷっと息をついた。
「でもさ、その……なんっつーかバカだよな」
暫しの沈黙の後、ユーリが半ば独り言のように切り出した。その声には呆れと怒りの感情が滲んでいるように思う。
「ケンカなんかしてる場合じゃないだろ? 魔物は倒しても倒しても減らないし、それに……どんどん強くなってきてる。ケンカしている間に全部壊されて誰もいなくなっちまう。そんなところで威張ったって何にもならないだろ」
ユーリはまだ年端も行かない10歳の子供だ。にもかかわらず、こういった達観した考えを持つに至っているのは、戦いの中で肉体と精神に磨きをかけているから。彼なりにしっかりとした考えを持って剣を握っているのだとひしひしと実感した。