余命2年の初恋泥棒聖女は、同い年になった年下勇者に溺愛される。
「エレノア達は、王都の外にいる人達を助けるために旅をしてるのか?」

「……ええ。けれど、もう一つ重要な目的があります」

「へえ? どんな?」

「貴方と同じように、国の未来を憂う方々と連携を深めることです」

「連携……?」

「平たく言えば俺達は、王を()げ替えようとしているのさ」

「王様を!?」

 エレノアはレイから説明を引き継ぐ形で親子に伝えた。この国の将来を憂う王弟・アンゲルス公爵を王に立てる計画があること、現国王には退位こそ迫るもののその命は奪わず隠居して貰う腹積もりであることを。

「じゃあ、その取り巻き達も一緒にクビにするんだな?」

「それでは本末転倒よ」

「えっ?」

「貴方が先程おっしゃった通りよ。皆で力を合わせなければ」

 新王のもと特定の誰かを祭り上げるのではなく、皆で協力し合う気運を高めるのだ。エレノアはクリストフの寂し気な背中を思い浮かべて深く頷いた。

「そっか。……そうだよな。でも、納得してくれるのかな?」

「決して平坦な道のりではないでしょう。ですが、めげずに励む所存です」

「………………」

 ユーリはエレノアの顔をじっと見つめた。彼の表情は時を経るごとに引き締まっていく。エレノアの覚悟を彼なりに感じ取ったのかもしれない。

「分かった。オレも――なっ!? ちょっ!! 母ちゃん!」

 ユーリが何か言いかけた直後、母親が彼を抱き締めた。強く強く。きつくきつく。それこそユーリが戸惑い暴れてしまうほどに。

 言わせない。言わせやしない。そんな強い意思を感じ取ったエレノアは呼応するように自身の襟元を強く握り締めた。
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