余命2年の初恋泥棒聖女は、同い年になった年下勇者に溺愛される。
「必ず。この命に代えても」

 そう言って誓いを立てた。ユーリを(あるじ)と認めた――というよりは、ユーリのその心意気と両親の愛を立ててのことなのだろうと思う。

 加えてもう一つ透けて見えるのは『過去の清算』という側面。守り切ることが出来なかった亡き親友アーサー・フォーサイス。彼に捧げるはずだった命をユーリにと、そう思っているのかもしれない。

「けっ、剣聖様! そんなっ! とんでもございません!」

「そうです! どうか頭をお上げください」

「そっ、そうだよ! にーちゃんにもその、家族とかいんだろ?」

「いないよ。僕は()()だ」

 ビルは笑って言ってのけた。それがまた悲哀を誘う。()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「……ったく」

 レイは小さく舌打ちをした。そしてそのまま歩き出してビルのもとへ。何をするのかと思えば彼のそのすぐ横で片膝をついた。

「レイ殿……?」

 ビルはまったく予想していなかったのだろう。状況を上手く咀嚼(そしゃく)出来ず困惑しているように見える。

「俺も独りだ。異国人な上に、盗み、売春その他諸々の前科持ち。文字通りのしょーもねえ命だが、そこらの魔術師よりは幾分か使えるはずだ。盾でも何でも好きに扱え」

 そうすることで、ユーリだけでなくビルも守ろうとしているのだろう。ビルも同じように解釈してか苦笑を浮かべている。

「嫌だ」

「あ゛?」

 思いがけずユーリが拒否した。苛立つレイ、戸惑うビルに臆することなくユーリは続ける。
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