余命2年の初恋泥棒聖女は、同い年になった年下勇者に溺愛される。
「オレは自分も、みんなも守る。()()()()()()()()()()()()

 今回の襲撃を受けて、両親の本心を知って一層その思いを強めたのだろう。10歳の子供が口にしているとは思えないほどに、芯の通った決意であるように思う。

「「……っ」」

 レイとビルが息を呑んだ。『救国の勇者』の片鱗を垣間見たのだろう。二人から等しく大きな期待が伝わってくる。

「……バカだね」

 誰かが零した。母親のエリーだ。内容とは裏腹に言葉が持つ熱はあたたかくて。

「ほんと、バカなんだから……っ」

「知ってらぁ」

 エリーは体を離した。小さく咳払いをしてエレノア一行に向き直る。

(美しい)

 その栗色の瞳は凛としていた。決意の目だ。エレノアの背も自然と伸びる。

「息子は預けます。ただ、一晩だけ。……っ、一晩だけお時間をいただけませんでしょうか」

「勿論です」

 気付けばそう答えていた。せめてもの罪滅ぼしだ。こんなことしか出来ない自分を不甲斐なく思う。

「ありがとう……っ、ございます」

 母親は涙を零しながら深々と頭を下げた。そんな彼女に夫のバリーも続く。エレノアはその光景をしっかりと受け止めて深く頭を下げた。その足で出口に向かう。後にはレイとビルも続いた。

「エレノア様!」

 ユーリの家を出て直ぐのところで声を掛けられる。隊長を始めとした護衛騎士の姿があった。治癒術師のゼフを始めとした攻撃隊に加わっていた騎士達の姿もある。

「エレノア様!!」

 ミラは再度エレノアの名を呼ぶと嬉々とした表情で駆け寄って来た。小柄な体型と薄茶色のポニーテールも相まってか、その姿はどこか仔犬を彷彿とさせた。
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