余命2年の初恋泥棒聖女は、同い年になった年下勇者に溺愛される。
「うわぁ~、まだンな余力あるんですか? ホント化けモンだな、アンタら」

「おい。俺らはともかく聖女様に対して――」

「あら? ふふっ、むしろ誇らしい思いよ」

「……そうですか」

「は~い、一丁上がり」

 緑色の魔法陣が消えた。体が軽い。魔力も(みなぎ)っているのが分かった。

「ありがとう、ゼフ。とても楽になりました」

「いえいえ」

「ゼフは? 疲れてない?」

 ビルが気にかける。エレノアを含め癒し手の面々は、その使命感からか自身のことは何かと後回しにしがちだ。

 当人も無自覚であることが多々あるため、こういった声かけは実のところかなり有難かったりする。

「そうだな。言われてみれば確かに疲労感すっごいなぁ~。くったくただぜ」

「良かったら、僕の回復薬を――」

「だーからっ、今晩一杯付き合え♡」

「え゛っ?」

「付き合え」

「……いいけど、僕は呑まないよ」

()()()()の間違いだろ?」

「……うるさいな」

 悪戯っぽく笑うゼフ。対するビルはばつが悪そうに顔を俯かせた。その頬はほんのり膨らんでいる。どうやらむくれているらしい。

「えっ? えっ? エレノア様、どゆこと?」

 ミラが耳打ちしてきた。エレノアは微笑みを(たた)えつつ小声で答える。

「ビルはね、お酒が苦手なのよ。グラス一杯でその……ね?」

「へぇ~? ほぉ~ん? へぇ~?」

 ミラは鼻の下を伸ばしてビルを一(べつ)した。何か良からぬことを考えているような気がする。

 一方でレイは興味なさげに視線を逸らしていた。彼は基本的にこういった交流の場には顔を出さない。

 異国人、元孤児、前科持ちなどを理由に自身を『鼻つまみ者』としているからだ。

 隊長やビル、エレノア、ミラなどが積極的に声をかけているが、これまで一度たりとも応えたことはない。

「あっ、そうだ。エレノア様、質問してもいいですか?」

 話しかけてきたのはミラだ。エレノアは頭を切り替えて頷き返す。
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