余命2年の初恋泥棒聖女は、同い年になった年下勇者に溺愛される。
「俺がいるんですよ。何か不足でも?」

「いえ、そんな……」

「俺もいるぞ?」

「アタシもいますよ?」

 ミラや他の騎士達も便乗していく。1人、また1人と加わるごとに、ビルの表情が和らいでいく。

 皆は信じているようだ。ビルのことを、そして自分達のことを。

 ビルならば必ずや王都に辿り着き、目的を果たしてくれる。自分達はきちんとエレノア、ユーリを守り切ることが出来ると。

(……信じましょう)

 エレノアも意を決して口を開く。

「ビル、わたくしもおりますわ」

「聖女様……」

「既知の通り、わたくしは戦うことは出来ませんが、治すことと、守ることは出来ます」

「恐れながら、戦闘への積極介入は戒律で――」

「ええ。禁じられています。ですので、()()()()()()()()()()()()()()()()()

 ビルが思わずと言った具合に吹き出した。エレノアはこれを受けて一層弾みをつける。

「ビル。どうかわたくし達を信じてください」

 返事は返ってこない。ビルはただ困ったように笑うばかりだ。

 彼がこうも頑なである理由については大方見当がついている。ずばり後悔だ。
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