余命2年の初恋泥棒聖女は、同い年になった年下勇者に溺愛される。
「がはっ!?」

「ゼフ!!?」

「ゼフさん!!!??」

「くっくっく……哀れな」

 魔物の黒い腕がゼフの胸を貫いた。エレノアが瞬時に祈りを捧げた――が、紫色の(もや)に阻まれてしまう。

「なっ……!?」

「ぼっ、……ちゃん……」

 ゼフの手から銀色の槍が滑り落ちる。

「ゼフさん!!! ――っ!!?」

 ゼフの体は勢いよく引き寄せられ――伯爵もとい魔物の腕の中に納まる。

「案ずるな。まだ死んではいない。まだ……な」

 不意にゼフの姿が消えた。よく見ると魔物の手の中には黒い水晶のようなものがある。

(まさかあの中に……?)

 見たことのない魔法だ。エレノアの持つ魔法(かばん)――『魔法収納』に近い技術だろうか。

「さて、次はお前だ。大聖女エレノア・カーライルよ」

「えっ……?」

(わたくしを? 何故……?)

「そんなっ、エレノア様まで……っ」

「ミラ!! 走れッ!!!!」

 隊長が声を張り上げる。他の騎士達は既に倒れ、闘っているのは最早彼一人だけだった。
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