結婚願望ゼロだったのに、一途な御曹司の熱情愛に絡めとられました
ドンッと両手で先生の胸を突き、先生から逃げた。

「私に迫っても無駄です。どんなに先生が私を誘惑しても私は落ちませんから」

正面から先生を見ると、先生がフッと笑う。

「本当、九条さんは面倒くさい。普通の女性なら、とっくに落ちているのに」
「私は先生の色香に惑わされませんから」
「寝てみれば僕の良さに気づいて落ちるかも」

今度は色気のある瞳で見つめられて心臓が跳ね上がる。

ね、寝てみればって……!
まさか、私を襲うつもり?

貞操の危機を感じ、思わず両腕を胸の前でクロスさせた。

「嫌がる女性に手荒な事はしませんよ」

先生が私の反応を面白がるようにクスッと笑った。
もしかして、からかわれた?

「ケーキ食べましょうか」

先生がコートを脱ぎ、紺色のセーター姿になる。下は黒のテーラードパンツを合わせていた。大学ではいつもスーツだったから、カジュアルな服装が珍しい。スタイルのいい先生は何を着てもカッコイイ。

じっと先生を見ていると、「九条さん、僕に見惚れてるんですか?」と、聞かれて、図星だったから頬が熱くなった。

「何言ってるんですか。そんな訳ないでしょ」
「僕は今日のニットワンピ姿の九条さんを見て可愛いと思いましたけどね」

安かったという理由だけで買ったグレーのニットワンピを着ている事が急に照れくさくなった。

「へ、変な事言わないで下さい」
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