愛し、愛され、放さない
「百合くん、これどうかな?」
ジャケットを取り、百合に当てる。

「ん。ちょっと着てみようかな?」
その場で羽織る。

「……/////」
(わぁ…/////か、カッコいい…/////)

ただ、ジャケットを羽織っただけでカッコいい。
思わず見惚れる、玲蘭。

「どう?玲蘭」

「か、カッコいいです…!」

「ん?(笑)なんで、敬語?(笑)」

「あ…(笑)
いや、本当にカッコいいよ!似合ってる!」 

「フフ…じゃあ、買おうかな?」

微笑む玲蘭に、百合も微笑み頭をポンポンと撫でた。

他にも、似合いそうなズボンなどを渡す。
「百合くん、試着してみて?」

「は?試着?」

「うん。試着」

「その間、玲蘭一人になるよ?」

「う、うん、そ…だね」

「だからダメだよ」

「でも、さっき私の服を選んでる時は、何度も私試着したし…」

「うん。でも、それはしょうがないことでしょ?
さすがに、一緒に入るわけにはいかないから」

「だからね。百合くんも……」

「玲蘭、わかってないね」

「へ?」

「玲蘭を試着室に一人にするのと、試着室の外に一人にするのには大きな違いがあるんだよ?
玲蘭、ここに一人になったら確実に声をかけられるよ?
ちゃんとかわせる?」

「え?」
(いやいや、声をかけられるわけないと思うけどな……)

「玲蘭は、自分の魅力をわかってない」

「そ、そうかな?」

「うん。だからダメ。
それに、大丈夫。
試着しなくても、だいたい自分がどんな感じかわかるから。
それに、玲蘭が選んでくれたんだし、全部買うよ!」

そう言って、服をレジに持っていく。

やっぱり玲蘭とは手を繋いだまま、片手でスマホを操作して電子マネーで払う。

商品の入った紙袋を、店員が出口まで持っていこうとするのを丁重に断り、荷物を持って玲蘭の手を引く百合。

店内で百合が玲蘭の手を離したのは、ジャケットを羽織った時だけ。
それ以外はずっと、手を離さなかった。

傍から見れば、異様な光景だ。

それでも百合からすれば、玲蘭と離れることは受け入れがたいことなのだ。


「百合くん、おトイレ行きたいな…」
「ん」

トイレに行き、別々に入る。
用を済ませ、玲蘭が手を洗ってハンカチで手を拭いているとスマホの着信音が鳴った。

「ん?」
友人からメッセージが入ってきた。
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