愛のない政略結婚で離婚したはずですが、子供ができた途端溺愛モードで元旦那が迫ってくるんですがなんででしょう?
「……は?」
瞬間、身体が硬直し、手の中のかき氷が落ちていく。
周囲から、小さく悲鳴の声がいくつも聞こえた。
「あーあ。
汚れちゃったね」
何事もなかったかのように宣利さんはしゃがんで私の足下を拭いているが、さっき私は人前でキスするなと言いましたよね?
言った端からこれですか?
「たーかーとーしーさーんー」
怒りでわなわなと身体が震える。
「だから!
人前でキスするなと先ほど!」
「んー?
だって花琳がヤキモチ妬いているみたいだから、僕は花琳のものだってアピールしておいたほうがいいかな、って」
なんでもない顔をして言いながら、彼は私の汚れてしまったワンピースを拭いている。
「で、でも……!」
私の気持ちを見透かされ、ますます顔が熱を持つ。
「これ、落ちないね。
どこかで代わりを買おう」
諦めたのか、ようやく宣利さんが立ち上がる。
「あのさ。
さっきからヤキモチ妬いてる花琳も、恥ずかしくて怒ってる花琳も可愛くて、滅茶苦茶キスしたいんだけど」
そっと耳打ちされ、顔どころか全身が燃えるように熱くなった。
「ここでしていい?」