愛のない政略結婚で離婚したはずですが、子供ができた途端溺愛モードで元旦那が迫ってくるんですがなんででしょう?
「元凶である曾祖父が亡くなれば別れてもなんの問題もなくなる。
だから、祖父が亡くなったら離婚する。
わかったな」

銀縁眼鏡の向こうから、彼が冷たく私を見る。

「わかり、ました」

反対するどころか渡りに船なので頷いた。
しかし、それほどまでにこの結婚は彼にとって不本意なんだ。
短いあいだとはいえ、結婚生活は前途多難そうだな……。

その後、結婚の話はとんとん拍子に進んでいった。
ちょいちょい、私たちの結婚を押した倉森の曾祖父が口を挟んでくるが、苦笑いで流す。
一度、お見舞いに行ったが、ベッドの上で寝たきりになっていた。
まあ、百歳を過ぎればそうなってもおかしくない。

「宣利さんと結婚する、羽島花琳です。
よろしくお願いします」

「……ふん」

曾祖父は挨拶をした私を一瞥だけして、すぐにそっぽを向いてしまった。

……いや、あなたに望まれたから結婚するんですが?
笑顔が引き攣らないか気を遣う。

「……あの人はいつもああなんだ。
気にするな」

こっそり宣利さんが耳打ちしてくれたが、それでも少し、傷ついた。

結婚式は贅を尽くした絢爛豪華なものだったが、酷く素っ気なかった。
周囲は私たちが政略結婚だと知っているので、仕方ない。
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