愛のない政略結婚で離婚したはずですが、子供ができた途端溺愛モードで元旦那が迫ってくるんですがなんででしょう?
「そうやって頑張る花琳が好きだから、僕は反対できないんだよね」

ちゅっと軽く、宣利さんが口付けしてくる。

「でも、無理はしないこと。
つらくなったらいつでも言って。
僕も気をつけるけど」

唇を離した彼は、その長い指で私の額を小突いた。

「はい」

こうやって私の意思を尊重してくれる宣利さんが好きだ。
そのうえでさらに、気遣ってくれるところも。

ワゴンを押す彼と一緒にリビングへと向かう。

「お待たせしました」

「おっそーい。
あんまり遅いからアフタヌーンティのケータリング頼んだわ」

文句を言いつつ典子さんの視線は携帯から動かない。

「……は?」

一音発し、作り笑顔のまま宣利さんが固まる。
一瞬のち、言われた意味を理解したのか深いため息を吐き出した。

「勝手なことをしないでいただけますかね?」

頭が痛そうに彼は額に指先を当てているが、まあそうなるだろう。
目配せされ、あいているひとり掛けのソファーに腰掛ける。
宣利さんはとりあえずといった感じでお茶をサーブし始めた。

「なぁに?
宣利が私を待たせるからいけないんでしょ?
それに私が奢ってあげるのに、文句あるの?」
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