愛のない政略結婚で離婚したはずですが、子供ができた途端溺愛モードで元旦那が迫ってくるんですがなんででしょう?
典子さんの文句は続くが、家の人間に断りもなくケータリングなんて、迷惑以外のなにものでもない。
それにあの典子さんの奢りだなんて、なにか企んでいるのではと考えてしまう。
「ありますよ。
それに姉さんの奢りはあとで高くつきますからね」
またため息をついた宣利さんは、私と同じ考えのようだ。
「どこのアフタヌーンティを頼んだんですか?」
「港近くのホテル。
オーベルジュは断られちゃった。
倉森の人間相手に失礼じゃない?」
典子さんは怒っているが、失礼なのは彼女のほうだ。
会員なのは宣利さん個人であって、倉森の家ではない。
当然、典子さんは会員ではないのだ。
なのに、注文するなんて厚かましすぎる。
そもそもオーベルジュは配達をやっていない。
「まったく失礼じゃないですよ。
……すみません、倉森ですが……」
宣利さんは呆れつつ、携帯を操作して通話をはじめた。
きっと守衛に連絡してホテルから来る配達の人を通すようにお願いしているのだろう。
「せっかくケーキを出したのに、無駄になってしまいました」
再び宣利さんがため息をつく。
というかそれしかできないんだと思う。