愛のない政略結婚で離婚したはずですが、子供ができた途端溺愛モードで元旦那が迫ってくるんですがなんででしょう?
「あら。
それもいただくわ」

典子さんが寄越せと催促をする。
最後に会ったとき、太ったからダイエットしないといけないと言っていた気がするが、そのダイエットとやらは成功したんだろうか。

「それで。
なんの用ですか、姉さん」

早く帰っていただこうと、宣利さんが早速話を切り出す。

「なんの用って、そちらこそ私に用があるんじゃないの?
特に、花琳さんが」

にたりと嫌らしく典子さんの目が歪み、身体をぞわぞわと鳥肌が駆け上がってきた。
でも、なんで私が?
嫁教育を再開してくれと頼めとでもいうんだろうか。
けれど今のところ、まったく困っていない。

「お父さん、ツインタワーへの出店、断られたそうじゃなぁい?」

ざらざらと耳障りな声が身体に纏わりつく。
どうして典子さんが知っているの?
違う、典子さんは〝知る立場〟にある人間なのだ。

「……あなたが、なにかしたんですか」

お腹の中が怒りでふつふつと沸騰した。

「別になにもしてないわ。
宣利と一緒で知り合いのお店を紹介しただけ」

素知らぬ顔で典子さんはお茶を飲んでいるが、絶対にそれだけではないはずだ。
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