愛のない政略結婚で離婚したはずですが、子供ができた途端溺愛モードで元旦那が迫ってくるんですがなんででしょう?
宣利さんだってなにかがおかしいと言っていた。

「本当にそれだけなんですか!」

怒りに飲まれれば、負けだとわかっている。
それでも、あんなつらそうな母を目の当たりにさせられ、黙っていられるわけがない。

「それだけって言ってるでしょ?」

いたって冷静な典子さんが私を見る目はじっとりとしており、獲物を前にした蛇そのものだった。

「義姉を疑うなんて、やはりまだ教育が必要ね」

彼女の視線が私の身体に絡みつき、雁字搦めにしてしまう。
瞬く間に私は、恐怖の海へと溺れさせられた。

「花琳!」

急になにも見えなくなり、意識が目の前へと戻ってくる。

「たか……とし……さん?」

「いい子だ。
ゆっくり、息をして」

私を抱き締める彼の手が、促すようにゆっくりと背中をさする。
それにあわせて息をしようと努力しているうちに、あんなに苦しかった呼吸が楽になった。

「うん、落ち着いたね。
もう部屋で休んでて」

それに額を擦りつけるようにして首を横に振る。

「……嫌」

「花琳」

宣利さんの声は、私を咎めている。
それでも、譲る気はない。

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