愛のない政略結婚で離婚したはずですが、子供ができた途端溺愛モードで元旦那が迫ってくるんですがなんででしょう?
「これは私自身の問題だから。
だから、ちゃんと自分で解決しないといけないんです」

何度も、私の心が折れるまで怒鳴られた。
折れたあとは従順になるように躾けられた。
あんな短い間でも、心は典子さんに従うべきだって思い込んでいる。
でも、そんなの、嘘。
本当は嫌だってもうひとりの私が叫んでいた。
今なら、宣利さんもいる。
きっと、なんとかなる。

「だからー、そういうこと言われると反対できなくなるだろ」

私を身体から離し、彼が顔をのぞき込む。

「さっき、無理はしないって約束したよね?」

「うっ」

それを持ち出されるとなにも言えなくなってしまう。

「もう一回、約束して。
無理はしない。
興奮して感情的にならない。
また、今みたいになったら強制退場だからね」

厳しい顔をしながらも、私の目尻を拭う彼の指は優しい。

「……はい」

そうだよね、私だけが苦しいならいいけれど、赤ちゃんも苦しくなっちゃうもんね。

「よし」

頷いた彼はスツールを極力寄せ、私に密着するように座った。

「宣利がそうやって甘やかせるから、つけあがるのよ」

はんと小バカにするように典子さんが鼻で笑う。

「……あ?」

< 154 / 194 >

この作品をシェア

pagetop