愛のない政略結婚で離婚したはずですが、子供ができた途端溺愛モードで元旦那が迫ってくるんですがなんででしょう?
今からどう獲物をいたぶってやろうかというその目に、背筋がぞくりとした。

「……おひさしぶりです、お義姉さん」

緊張しきってギクシャクと頭を下げる。

「私はあなたを義妹だなんて認めてないんだから、お義姉さんなんて呼ばないで。
気持ち悪いわ」

さも穢らわしそうに彼女は私から目を逸らした。

「申し訳ありません、お……典子さん」

屈辱の気持ちで再び頭を下げる。

「……姉さん」

すぐ横から凍えるほど冷たい声が降ってきて、びくりと身体が震えた。

「花琳が気に入らないのなら、すぐに出ていってもらえますか」

おそるおそる見上げた先では、宣利さんが薄らと笑っている。
仏像のようにとても美しいその笑顔は恐怖を抱かせ、身体の芯から凍りつく。
長い指先は出ていけと、ドアを指していた。

「や、やだ。
冗談に決まってるじゃない。
そんなに怒らないでいいでしょ」

慌てて典子さんは取り繕い、勝手にリビングへと進んでいく。
なにかと態度の大きな彼女だが、それでも先ほどの宣利さんは怖かったようだ。

リビングで典子さんは長ソファーに迷いなく座った。
お茶を淹れに行こうとしたら、宣利さんが止める。
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