愛のない政略結婚で離婚したはずですが、子供ができた途端溺愛モードで元旦那が迫ってくるんですがなんででしょう?

「いいから」

「でも……」

お茶も出さなければさらに典子さんに嫌みを言われる。
けれど宣利さんは行かせてくれそうにない。

「座って」

宣利さんが指したのは、ひとり掛けのソファーだった。
戸惑っていたら自分はスツールを引き寄せて座ってしまう。
もうそこしかあいていないので仕方なく、ひとり掛けのソファーに腰掛けた。

「あら。
宣利を差し置いてあなたがそこに座るの?」

すぐに典子さんが意地悪く指摘してくる。
だから嫌だったのに。

「なにを言ってるんですか、姉さん。
花琳は僕の子供を妊娠しているんですから、この家では僕より立場が上ですよ。
そんなこともわからないんですか」

はぁっとこれ見よがしに、呆れたように宣利さんがため息をつく。
おかげであっという間に恥辱で典子さんは顔を真っ赤に染めた。

「それで。
なんの用ですか」

宣利さんの声は素っ気ない。
というか相手をするのが面倒臭そうだ。

「それよりこの家はお茶も出ないの?」

私へちらりと視線を向け、仕返しだとばかりに典子さんがため息をついてみせる。

「あ、あの」

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