煙草を吸う女
 それから数日後、沢口さんとの終わりを告げる大きな事件が起きた。
 同期の島本と久々に研修の終わりに呑みに行くことになり、研修所からほど近い高架下の焼き鳥屋で散々飲み食いした。焼き鳥の甘いたれだけでも酒がすすむ。酔いつぶれる一歩手前で沢口の話をした。沢口を気になりだしてから、そのあとのアプローチまで全てげろった。島本は神妙な顔をして、目の前の鶏モモの炭火焼をつついている。

「結構手強いんだな、その沢口さんって。まあ単に年下すぎてそういう対象にみられてないんじゃないか?」

 島本はなかなか抉るストレートを決めてくる。

「……そうだとしても諦めたくないんだわ、結構がちで惚れてんの。俺」

 哀愁というのか、彼女には影がありそれが色気となって現れている。それに感情の起伏も少ないからたまに驚いたり、嬉しそうにしていたりする表情がかわいくて仕方ない。課長にも言われたが好きなのだ。どんな表情を見てもかわいいと思ってしまう。末期だ。俺も同じように炭火焼を取り、柚子胡椒をつけて食べる。
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